15回にわたりお贈りしております
インドネシアツアー報告書
『インドネシアツアーの
すべてを暴露する報告』

は、
まだ2回目ですが、
面倒くさいため諸事情により、
一時中断いたします。



その代わりと言っては何ですが、


本日の日記は、


テキサスパンダのドラマーであるなで彦さんが直々に


一歩上を目指す全てのドラマー諸君にお贈りする


特別号外編。


名付けて









2011年12月14日
弘法筆を選ばず、なで彦さんWINCENTを選ぶの巻

「弘法、筆を選ばず」と言いますが、どうもこの言い回しはバンドマンにはあてはまらないようです。わたくしの鋭い分析によりますと、バンドマンは、弘法の域に近付けば近付くほど筆を選ぶようになり、さらにもう一歩弘法の域に近付くと自分の使いやすいように筆をカスタマイズし始めたりして、そこからさらに進化を果たし真の弘法の域にまで到達したあかつきには、筆メーカーに自分の演奏スタイルに特化した「シグネイチャーモデル」を作ってもらえたりするので、「弘法筆を選ばず」どころか「弘法、メーカーにシグネイチャーモデルを作ってもらう」というのが、正確な表現かと思われます。バンドマン業界にあっては、メーカーにシグネイチャーモデルを作ってもらえてこそ、真の弘法と言えるのです。


わたくしの経験則上、バンドマンが「筆を選ばない」のは楽器を始めた最初の段階だけです。大体において、楽器を始めた初期段階というのは、まず自分の下手さ加減に閉口し、バンド活動は想像以上に
恐ろしく華々しくなく、楽器の勝手が分からないから練習もつまらない、結局は「華々しい世界でぶいぶい」という夢とは真逆の、暗く辛い自己鍛錬あるのみ、という苦境に追い込まれ、果たしてこの先自分の忍耐が1週間続くかどうかも分からない状況です。このような時点で使う筆にこだわりを持ったって仕方ないことで、なるべく多くの筆を試し、いろいろな試行錯誤の繰り返しの中から自分の流儀を確立していくのが自然な流れというものです。そしてその確立された流儀に秘められた可能性を最大限にまで引き出すために、自分にふさわしい筆を選び、もしくは作ってもらうことこそが、理想型だと言えましょう。つまるところ、筆選びにはいろいろな経験に裏打ちされた知識が必要とされるのです。


こういうわたくしとて筆を選び始めたのは、2年くらい前からでしょうか。ドラム歴かれこれ20年の歴史からすると、筆を選ぶには十分過ぎるほどの経験と知識があると思われますが、いかんせんそれまでドラマーとしての意識が
恐ろしく低かった。言うなれば、わたくしのドラマーとしての意識は「大器晩成型モラリティーをもって開花した」と言うことができ、平たく言うと「自分がドラマーだと最近まで知らなかった」ということになります。


ドラマーとしての意識が開花したきっかけは
特にないのですが、開花後には積極的にいろいろとツールを選ぶようになり、今となっては多くのこだわりを持つに至りました。その反面、不便になったことも多くなってまいりました。すなわち、自分の「こだわり」がすべて全うされていないと、なで彦さんはドラムが叩けなくなってしまったのです。「弘法筆を選ばずという格言は、バンドマンに当てはまらないのではないか」と先に申し上げたのもそういうことなのです。本日はそんなフラジャイルななで彦さんの、長年の経験と鍛錬によって培って来たドラマーとしての豊富な知恵を共有しつつ、ベテランドラマーとしての個人的なこだわりポイントを幾つかご紹介し、向上心に燃えるドラマー諸氏、あるいはこれからドラムを始めてみようかなと思われている諸君にとって、少しでも有意義なティップスを授けられれば幸いに思います。



●なで彦さんのこだわりポイントその1:ドラムシューズ
ドラムをやらない方にとって、ドラムという楽器は「手で叩く」というイメージが強いかと思いますが、実はドラムは手で叩くのと同じくらい、
足で蹴っ飛ばす楽器でもあるのです。ドラムセットを良く見ていただくと、一般的なドラムセットの下の方には、通常大きな樽のようなものがあります。この樽のような楽器が「ベースドラム(通称:バスドラ)」と呼ばれているものです。







▲一般的なドラムセットとバスドラ、の図▲






まずここで、ドラマーの98%の方々は、この一般的なドラムセットを見て、次のように言うでしょう。





「おいおい、どう見ても
デカ過ぎるだろ」






と。わたくしも言いました。そこで近年は、この一般的なドラムセットを縮小化する動きがドラマーたちの間で盛んになってきています。現在ではかなりミニマライズされたセッティングがスタンダードとして定着しつつあります。分かりやすくするために、ここではこの「新しいスタンダード」として定着しつつある「縮小化されたドラムセット」を例に、バスドラに話題を戻しましょう。







▲最近の「スタンダード・ドラムセット」に見るバスドラ、の図▲




そうです。この樽のようなものが「バスドラ」と呼ばれている楽器です。バスドラは一般的に足で蹴っ飛ばして鳴らすものです。バスドラは蹴っ飛ばすと「ドーン」という低い音が発生し、通常、「深い悲しみ」を表現する時に鳴らします。バスドラは一般的にペダルのようなものとセットになっていますが、











写真でもお分かりの通り、そもそも足が届きませんし、使い方が良く分からないので、わたくしはそっと外して脇にどけておきます。そして心にいっぱい悲しみを溜め込んでから、軽く助走をつけて、蹴っ飛ばします。分かりやすく言うならば、サッカーのコーナーキックの要領です。






▲イメージ図▲





そんな「深い悲しみ」を表現する時に蹴っ飛ばすバスドラですが、ご存知の通り、大抵のドラマーは常に悲しみに満ち溢れているので、曲中ずっとバスドラを蹴っ飛ばし続けています。あんなに蹴っ飛ばしまくっているのですから、少しは悲しみも軽減されたらいいものの、一向に悲しみが軽減されないのがドラマーの性(サガ)なのです。次から次へと湧き出る悲しみの源泉。ドラマーが「悲しみの泉(ファウンテン)」と呼ばれている由縁です。






▲悲しみが押さえきれなくなったドラマー、の図▲





ドラマーはあれだけ飽きもせずにバスドラを蹴っ飛ばし続けるのですから、ドラマーの靴も、彼らの溢れんばかりの悲しみに耐えうる頑丈なものを用意しないといけません。悲しみの種類によってはコーナーキックだけでなく、「押し蹴り」「かかと落とし」など複数の技を組み合わせて複雑な表現を行うこともありますので、できれば靴底の厚いものが良いでしょう。そこでわたくしは「コンバースのワンスター」というスニーカーを長年愛用しています。








汚ねえ〜
▲資料提供:なで彦さん▲




コンバースのワンスターは、いわゆる「ファットソール」と呼ばれる太いゴム底仕様となっており、結構重いスニーカーなのです。バスドラを蹴っ飛ばす時には、この重みが大変重要になってきます。ここでひとつ、わたくしの体験談を紹介しましょう。


以前テキサスパンダのライブが台風上陸と重なってしまった時、3年間履き続けてきた、靴底に穴の空いたコンバースのワンスターに雨水が侵入してきて、歩く度に
「びしゅ、びしゅ」と情けない音を立て始めたことがありました。浸水しきったワンスターは異常な重さになり、足が冷えるものですから腰も痛み始め、次第に冷えがお腹の方に回り、お腹が痛くなってきて、ものすごく侘しく、ものすごく悲しく、「もうだめだ、悲しみが、深過ぎる」ということで思いっ切りバスドラを蹴っ飛ばしたらそのまま靴底がベローンとはがれてしまったことがありました。いよいよ心は悲しみに満ち溢れ、ソールがはがれて軽くなったワンスターで「なにくそ」と涙ながらにバスドラをけちょんけちょんに蹴っ飛ばしてやったら、嗚呼、余計悲しいかな、ポコポコ、ぺたぺた、出るのは間抜けな音ばかりで、深い悲しみが全然伝わらないではないですか。いよいよ心は悲しみでびちょんびちょん、靴もびちょんびちょんのべろんべろん、腰は痛いし、お腹も痛いし、もはや尋常でない憤怒に膝はうち震え、スニーカーをズバッと脱ぎ捨て、夫婦喧嘩で鍛えた必殺トーキックを「どっかーん」とバスドラに見舞ってやったら、夫婦喧嘩で鍛えてきた通り、狙いを見誤って小指がバスドラのリムに当たって「ひいっ」、まるで不意に闇夜の車道に飛び出し車のハイビームに照らし出された小鹿のような可細い悲鳴を上げて卒倒してしまったのでありました。


この実体験からも分かる通り、適切なドラムシューズを選択することは、ドラマーにとって非常に重要なポイントなのです。


●なで彦さんのこだわりポイントその2:スティックケース
スティックケースは比較的新しい「こだわりポイント」のひとつです。「スティックケース」とは、複数本のドラムスティックをまとめて収納できるポシェットのようなものです。一般的なスティックケースというものは、下図のようなものです。






一般的なスティックケース、の図






これを開くと、このようになります。







▲一般的なドラマーのスティックケースの内部▲





「しかし、スティックケースがないとドラムが叩けなくなるわけではないだろう」と思われるかも知れませんが、それは平和ボケというものです。わたくしのように長年スーパーハイテンション・ビッチなバンドでドラムを叩き続けてまいりますと、スティックケースの必然性は自明となります。


ここでまた、わたくしの体験をひとつご紹介しましょう。


昨今なで彦さんがドラムスティックにこだわり始めてからはスティックの所有本数が増えてきて、その管理が大変になってまいりました。当時スティックの本数が増える一方でスティックケースを持っていなかったなで彦さんは、
お相撲さんが試合の前に土俵に塩をばーぁとまき散らして闘志を上げるがごとく、ステージに上がったら真っ先にスティックをばーぁとステージ上にまき散らしてメンバーが迷惑そうにするのを横目に「あはは、ざまあ」と得意になっていたものですが、ある日べろんべろんに酔っぱらってスティックをばーぁとまき散らしたステージに上がった途端、スティックを踏んづけて、ゴロリとゆっくり捻挫しながらずっこけて後頭部を強打したことがあります。「あっ、ボク、今、死んだ。みんな、ごめんね」と先逝く不幸の者の悲しみに浸りましたが、死んでいませんでした。死ななかったわたくしを見て、メンバーは残念そうな顔をしました。と同時に、非常にイラッとする黄色い声で笑いやがったのです。その瞬間、なで彦さんの心の中には、言いようのない深い怒りが芽生えたのです。


そのような屈辱的かつ生命の危機的な体験を経て以来スティックをステージ上にまかなくなったなで彦さんは、この手に余る大量のスティックをどうしようかと悩み始めました。
両の手に7、8本ずつスティックを持っていたらドラムを叩きたくても叩けません。ライブ本番でオープニングSEが終わり、スティックのカウントで始めなくてはいけない曲を、両の手に7、8本ずつスティックを持ったままあたふたしていると、メンバーが腐ったイワシの目の方が余程可愛らしいような白目でなで彦さんにらみをきかせてきます。なで彦さんはそんなメンバーに向かって中指をおっ立てて応戦したいのですが、中指をおっ立てるとスティックがポロポロこぼれ落ちてしまいそうです。






「嗚呼、
スティックケースさえあれば、
中指をおっ立てられるのに」






この悔しさが、わたくしにとって、スティックケースの必需性を認識させてくれた最初の出来事だったのです。スティックケースがわたくしにとってなくてはならないアイテムになったのは、すなわちスティックケースがないとドラムが叩けなくなるからではなく、スティックケースがないと必要な時にメンバーに中指をおっ立てられなくなるからなのです。













ここで必要に迫られたなで彦さんは、家に帰って、さっそくスティックケース作りに着手したのでありました。開発コンセプトは、3つ:



1)可搬性に優れ、

2)世界ツアーにも耐え得る耐久性、そして何より、

3)おしゃれであること。




あらゆるメーカーのスティックケースを綿密に調査し、また自分の用途に見合う最適な設計を数日にわたりプランニングし、四苦八苦の末、なおかつ上記の3つの条件をすべて体現したのが、この
世界で1つの超プレミアム・スティックケース『ネネちゃん』。







▲コンパクト、頑丈、そして、おしゃれ▲






設計ミスにより若干パンパンに見えなくもないですが、ここで強調しておきたいのは、そのぶっちぎりのおしゃれさ。無理矢理詰め込んだスティックを抜き出して見ると、なんと、何かの絵が描いてあるではないですか。







▲何かが描かれている模様▲






プチプチを外すと、
こうなります。








▲シャレオツなイラスト▲






プチプチに戻すと、






▲高級感溢れるさりげないシースルー・デザイン▲






隠れたオシャレ。それが洗練された大人のこだわりです。そしてこのスティックケースのおしゃれポイントとして特筆しておきたいのが、このプチプチ。実はこのプチプチ、なんとあのイタリアの超絶高級ブランド「miumiu」のプチプチなのです。当然のことながら、『杉並区でもっともひもじいロックンローラー』と名高いなで彦さんが、miumiuでお買い物などできるわけがありません。義妹がmiumiuで洋服を買ってきた時についてきたプチプチを、なで彦さんがしめやかにパクってやったのです。


このプチプチが、アスクルとかでは見たことのない極上の物で、
ショットガンを撃ち込んでも大丈夫なのではなかろうかというくらい頑丈です。多分このプチプチだけで4000円くらいはするでしょう。この『ネネちゃん』スティックケースが万一製品化され市販されることとなったら、鼻血が噴き出るような価格になることと思います。いかんせん、miumiuでお買い物をしないと手に入らないプチプチなのですから。


●なで彦さんのこだわりポイントその3:WINCENTドラムスティック
ようやく、本日の日記で最大かつ最重要なこだわりポイントにまでたどり着きました。


ドラムスティック。


それはドラマーの深い悲しみを
可憐に表現すべく開発された、人智に満ち溢れたツール。ドラマーが抱え切れなくなり、指先からちょろちょろ滲み出てくる悲しみを、隅々に至るディテールまで表現するための魔法の杖。それが、ドラムスティックなのです。


「スティックなんて、ただお箸を太くしたようなものだろう?大した差はない癖に偉そうなこと言ってるんじゃないよ」と素人諸君は言うでしょう。そうです。それは所詮、素人の意見なのです。


「ドラムスティック」とひとえに言っても、材質や形状など、選択ポイントは多岐に渡ります。
お箸と一緒です。しかし、あなたが今使っているそのお箸で、ぶよぶよに弛んだカレイの煮付けがスムーズに食べられますか?そのお箸で、納豆を食べた後に冷や奴をきちんとグリップできますか?という話なのです。ぶよぶよに弛んだカレイの煮付けを、身をボロボロに崩さずにスパーッと掬(すく)うことができ、納豆を食べた後のぬるぬるした箸先でもしっかりと冷や奴をグリップできるお箸を手に入れたなら、それはそれで「ひとつ上の豊かさ」を手に入れたも同然なのです。その瞬間、「お箸」はただの「食べ物を口に運ぶツール」ではなく、「食べ物を可憐に口元まで届けられる神の手」と化すわけです。


ドラムスティック選びというものも、実に奥深く、実に難しいのです。一人一人に食癖があるように、ドラマーにも一人一人ドラムを叩く時の癖があります。
「一歩上の精神的食文化を楽しむためのお箸選び」と同様に、「一歩上の悲しみの表現を手に入れるためのスティック選び」は、困難を極めます。言い換えれば、自分にぴったりのスティックを手に入れた者は、最強の表現者となり得るのです。ドラマーを目指す諸君は、これを肝に銘じておきましょう。



「スティック選び」で重要となってくるポイントは、
次の3点。


1)自分のドラムの(=悲しみの)スタイルを把握していること。そして、


2)スティックそのものの構造を理解していること。



以上です。「1」は各自に頑張っていただくとして、ここでは「2」について少し解説しましょう。木製のドラムスティックは、めちゃくちゃ大雑把に分別すると、メイプルかヒッコリーで作られているものが主流です。詳しくは知りませんが、恐らくドラマーの90%はヒッコリーのスティックを使っているのではないかと思います。それは恐らくメイプル・スティックでドラムを叩くと「カンカン」言うのに対し、ヒッコリーも「カンカン」言うからです。当然でしょう。ヒッコリーで叩いたら「ぬえ」とか言ったら恐ろしい話です。スティックはカンカン言うものなのです。ただメイプルは材質が堅いからか、一発一発叩いた後で、ワインを飲み過ぎた翌日のような、軽い脳出血を起こして指先がビリビリするような、そんな感覚があります。これに対してヒッコリーは程よく柔らかい材質のため、衝撃をある程度吸収してくれるような感じがします。メイプルの硬い感覚を「バキッ」と表現するならば、ヒッコリーは「メリッ」という食い込む感じでしょうか。この「メリッ」とメリ込む感じが、ドラマーにとっては心地よく、ドラムという楽器がわたくしたちの溢れんばかりの悲しみを受け入れてくれるような感じにさせてくれるのです。


わたくしがスティックについて知っていることと言ったらこれくらいでしょうか。しかしこれだけ知っていれば十分です。


さて、そんなわたくしが今まで試してきたスティックの種類は、想像を絶する数です。「想像を絶する」というよりは「良く覚えていない」と素直に言った方が良いかも知れません。わけも分からずいろいろ試して来た中で、2年ほど前に初めて「PROMARK」というブランドのスティックに触れてみて、そのバランスの良さ、手触り、打った時のしっぽり感、そして何より
「PROMARK=プロの印」という名を冠したブランド名の響きに、ちょっとアマチュア心がくすぐられたのです。その時使ったのがこれです。






PROMARK TX739N The Natural
ヒッコリー材
409 mm x 14 mm




これには本当に衝撃を受けました。「ああ、ドラムスティックは自分の体の一部になると良く言うけれど、こういうことなんだな!」と初めて理解して感動したものです。このスティックは約半年間ほど使っていたのですが、ある日ひょんなことから次のスティックに出会ったのです。






PROMARK TXR5BN The Natural 5B
ヒッコリー材
406 mm x 15 mm





まあ素晴らしい。こんなに素晴らしいスティックに出会えてわたくし幸せ。この重さ、この太さ、この肌触り、このメリ込み具合。完璧にわたくしの悲しみが、ドラムセットに伝わって行くのが感じられます。


この素晴らしいスティックを1年半ほど使い続けてきたわけですが、つい最近、さらにこれを上回る衝撃的なスティックに出会ってしまいました。そう、ご存知の方はご存知、かの著名な(わたくしは知らなかった)スエーデン製/WINCENTというメーカーの山口大吾モデル。







WINCENT W-DYS Daigo Yamaguchi Signature
ヒッコリー材
397 mm x 14.7 mm





「こ、これは・・・絶句。」初めて使った時に、なで彦さんが思わず漏らしてしまった言葉です。そうです。思わず「絶句。」とまで発音しまうほど素晴らしかったのです。何が素晴らしいのか、良く分からないけど、とにかく素晴らしい。なで彦さんがこのWINCENTスティックに惚れ込んだのは、決してなで彦さんのリスペクトするドラマーが使っているからというわけではありません。例えこのスティックが「夏堀朝子の母モデル」という名前だったとしても、わたくしは惚れ込んでいたでしょう。それくらい素晴らしいのです。


何がそんなに素晴らしいのか。まず今まで使ってきたスティックと同じヒッコリー材でありながら、メリ込み感が違います。メリ込むというか、ドラムに吸い付く感じです。磁石と磁石をゆっくり近づけて行くと、スーッ、パチン、とくっつくでしょう?あのような感触なのです。こんなの、初めてです。


そして「鳴り」が大変よろしい。粒がまとまっていて、丸みがあり、美しい。テニスラケットで言うところの「スィートスポット」にテニスボールをうまく当てられた時のような、スポーンという、快活な、整ったヌケがあります。


また振った時のしなるようなスピード感。竹刀を振った時に、竹刀がグイーンとそり曲がるのに似た感じがするのです。


要は、叩いてて気持ちよく、ずっと叩いていたくなるような、スティックなのです。指先から溢れ出る悲しみがどうのとか、納豆食った後のネトネトの箸先がどうだとか、はっきり言ってどうでもいいのです。



このスティックをデザインした山口大吾氏のドラムセミナーで聞いた解説を少しご紹介しましょう。かなり細かいこだわりが詰められた一品のようです。解説いただいた内容は
ほとんど覚えていませんが、このスティックは重心が前の方にくるように設計されているとのこと。そのため比較的短めの寸法でありながら、長めのスティックに劣らないスピード感と重さが何とかかんとか。「重心」なんて言葉、柔道の世界以外で聞いたことがありますか?わたくしはたまにあります。しかし、柔道のテクノロジーがまさかドラムスティックにまで応用できようとは、誰が想像し得ましたでしょうか。そうです、山口氏だけです。なるほど、振った時の加速度といい、メリ込む感じといい、重心が前の方にあるからなせる技なのでしょう。


またこのスティック、相当強度があるそうです。山口氏曰く、WINCENTのスティックにはこだわりのワックス・コーティングが施されているらしく、うんたらかんたら。
「スティックにワックスがけですか。ベストキッドみたいだな」となで彦さんは思ったものです。そこでハッと気付いたのでした。「なるほど、フローリングにワックスがけを行うのと同じ効果が、スティックにも期待できるのかもな」と。すなわち、ワックスがスティックを傷などから保護するから、耐久性がアップするのです。


ご参考までに、PROMARK(ワックスなし)とWINCENT(ワックスあり)をそれぞれ同時間、ほぼ同内容のスタジオワークで使用してみた後のスティックのやつれ加減を比較してみましょう。


まずはスタジオ5時間 + ライブで1回使ったPROMARK 5B。














そして同様に、スタジオ5時間 + ライブで1回使ったWINCENT。















その差は歴然です。













WINCENTの強度に関しては、あの大御所メタルバンド『ACCEPT』のステファン・シュウォルツマン氏自身が















Youtubeで次のようにのたまっています。






「お前らに、おれの
スティックケースの中身を
見せてやろう。」









▲スカスカ▲







「スカスカでびっくりしたろう?おれはなあ、いわゆる『パワーヒッター』と呼ばれてるドラマーだ。ドラムをバカスカ、力任せに叩くのがオレの流儀なんだ。そんなおれでもなあ、WINCENTが3本あれば、ACCEPTの2時間超えのライブステージも難なくこなせるんだモ(ルゲ)ン」


シュウォルツマン氏自身が
苦しいギャグを交えながらこのようにおっしゃってるんですから、これは説得力抜群です。






じゃんじゃん。






え、終わり?







【まとめ】
弘法は筆を選ばずとも、ドラマーはいろいろ選ぶんだなあ。それにしても、なで彦はアホだなあ。やたらと長い割には、何一つためにならなかった。読んで損した。なで彦、殺す。






そんな風に思っていただけたら、
本日の日記を書いた甲斐があったというものです。






今までの日記なんて読まなくてよし


© texas pandaa